2013年4月18日木曜日

迷妄、呪縛を解き放とう

 懲りもせず、またぞろ始まってしまったモノやお金を追いかける世の中を見ていると、日本人は、一体いつになったらこの迷妄、呪縛から解き放たれる日が来るのだろうか?と考えてしまう。

 震災後、来日したダライラマが、日本人に向けて言った言葉を思い出す。
なぜ人々の欲望が止まらないか?それは幸福感を絶えず外部の刺激に求めているからです。 しかし、本来「空(くう)」であるモノの世界に永遠の満足感はありません。今こそ、日本人は次の段階へ、心の平和という本当の幸福の世界へと向かうべき時です。」

 すべてのモノは移り、変わりゆく。どんなに好きなモノでもいつかは壊れ、目の前から姿を消す。愛する人も、大切な家族も、友人も知人も、誰よりも愛おしいこの自分自身でさえ、いつかはこの世を去る。

 日本人は元来、このモノの本質であるところの「無情」を最も良く知り、心の豊かさの世界、「侘び寂び(ワビ、サビ)」の文化を創り上げた。そのモノのアワレの本質を何よりも愛し、慈しんで来た民族だった。相手に心からの敬意を払う日本人の挨拶は、頭を下げ、腰を曲げ、相手の視線から自己(我)を消すという究極の礼儀作法でもある。

 そんな日本人が、目に見えるモノにしか幸福感を感じなくなってしまったのは、なんとも哀しいことである。寂しいことである。生きる為に必要な基本的なモノやお金があったなら、もうそれ以上のものは不要なはずである。

 にもかかわらず、もっともっとと「外なる幸福感」を限りなく追いかける病気「もっともっと症候群」が、現代の日本人とこの国の迷妄や呪縛の元凶である。<幸福感は心で感じるもの>この当たり前のことを思い出し、一人一人がそれを生活の中でどう実践するかが、今の私たちには求められている。

 



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