2016年7月30日土曜日

「バーチャル世界」始まりの予感

 戦後間もない子ども時代、心躍らせた漫画と言えば、「地雷也(じらいや)」という忍者ものや中東の物語「シンドバットの冒険」だった。
 どちらも変身もので、地雷也は、窮地に陥った時に呪文を唱えると立ちどころに自分が変身してどんな難問も解決出来るというものであり、シンドバットの冒険は、困った時にアラジンの魔法のランプを手でこすると、大男が目の前に現れて、どんな難題も解決してくれるというものだった。
 人生と言う未知の世界に挑む子どもにとって、この漫画に描かれた夢物語は、不安を一掃してくれる何よりも心強い助っ人だったように思う。
 この数日来、iPhoneで遊ぶ「ポケモンGO」が、世界的なニュースになっている。GPSで写し出された現実世界にあたかもそれが実際に存在するかのように登場するポケットモンスターは、不透明で危機一杯の現代社会では、昔我々が夢中になった忍者や大男の出現への期待とどこか通じるものがあるようにも思う。
 ただ、かつての漫画は、それはどこまでも紙の上の虚構の物語であり、読者はそれが虚構であることを十分に心得てそれを楽しみ、そこから得る元気を現実世界を生き抜くための力として活用していたように思う。
 しかし、ポケモンは、これとはかなり異なる目的を持つゲームである。そもそもこのゲームの発案者は、室内にこもりがちな現代人を外へ引っ張りだしたいと思ってこれを考えたと言われてるが、手に入れたいオモチャの怪物が、あたかも現実世界に出現したかのように錯覚させるこのゲームは、夢中になればなるほど人々の現実的な感性を失わせ、限りなく虚構の世界へと引きずり込む力を秘めているものでもある。その結果、想定外の事故や事件がすでに多く起きてもいるのだが、そうした現実以上に、これはかなりの危なさを秘めているゲームであるように思えるのだ。
 これまで人間は、現実世界をどうリアルに把握出来るかで様々な知識を発展させ、情報を手に入れることに努力して来た。それが社会を成長させるエンジンだった。しかし、近年パソコンの出現によって、そうした知識や情報が限りなく現実世界を動かすようになり、現実と虚構の世界との力関係がいよいよ反転する時代になって来た。虚実混沌の情報が現実社会を大きく動かす力を持つようになり、結果、ネットによるテロリズムが実際に拡大し、ロボット開発のための人工知能がやがて人間を支配するかも知れないという心配もまた、いよいよ現実のものとなりつつある。
 GPSで膨大な数の人間の行動を瞬時にコントロールし、虚構の世界に入り浸らせることで人間の現実感覚はいよいよ失われて行くに違いない。そんな悪循環をもたらす機能を秘めたポケモンの登場は、近い将来予想される虚実反転の世界の出現がいよいよ我々の日常生活で起こり始めたことを予感させている。

 



2016年7月22日金曜日

食による熱中症対策

 今年もまた身の危険を感じる暑い夏がやって来ました。熱中症対策には十分気をつけなければなりませんが、今日は、世間とは一味違う「食による熱中症対策」についてアドバイス致しましょう。
 一般的に熱中症と言えば、こまめに水分と塩分を摂る、危ないと思ったら涼しいところに行き身体を冷やす。立ちくらみや頭痛、しびれを感じたら即病院へ。というところだと思いますが、ここで忘れてはならないのは、そうならないための予防策、自分で出来る「食による熱中症対策」です。
 近年世間では、ごく普通の季節であっても、水分は出来るだけ多く摂ることをすすめられますが、それは、現代人の多くが、日常的に肉食過多、乳製品、油類、砂糖を含んだ菓子類などを大量に摂っていて、慢性的に水分を欲しがるカロリー過多の熱い身体になっていて、そのバランスのために水分をしっかりと摂れと言われているのです。
 もし、このような状態や体質で暑い夏に水分が足りないと、血液濃度が高まり、血流も悪くなって、いよいよ体温が上がり脱水症状になりやすく、それこそ危険な状態になってしまいます。
 これを予防するには、こうしたカロリー過多な食事を極力減らして、体温を上げない、身体に熱がこもらないあっさりした食事を心がけることが大切です。昔から、暑い夏には素麺や冷や奴を食べろと言われるようは、こうした暑い夏の食材は、身体の熱を取り、冷やしてくれる性質を持っているからです。
 旬の夏野菜、生でも食べられるキュウリやトマトや瓜、これらはスープにしても効果があります。また、ナスやジャガイモなども良いでしょう。また、果物やジュースも体温や血圧を下げる効果があります。日頃から乳製品の多い人の場合には、野菜ジュースであったり、体温を下げる効果がある香辛料たっぷりのカレーなどもおすすめです。
 日頃から関心があって実行可能な人は、この暑い季節にこそ、熱中症対策に効果のある穀物菜食やベジタリアンの食事を試してみるのがいいでしょう。熱中症は、同じような環境にあっても、誰もが必ずかかるものではありません。日頃の食習慣と心がけで状態や体質を改善すれば、かなりの予防が出来ることを憶えておくといいでしょう。
 

2016年7月15日金曜日

危機を知らせる最後通告か

 「抗生物質が効かない人間が増えている!」とメディアが伝えているが、これは、長年、あらゆる治療にこの薬を頼って来た現代医療とその当事者、薬に依存し続ける患者たちにとって、大変深刻で厄介な問題である。

 これを解決するには、より強い薬を開発するしかないと考えるだろうが、しかし、原因が大量の薬物摂取による多剤耐性菌によるものだとすると、今後このような薬による治療が続けば続くほど、薬では解決出来ない病気がどんどん増えることにもなる。

 こうした事態になった原因の多くは、現代人が薬を始めとする農薬や食品添加物等の化学物質を日々大量に摂り込んで来たことにある。本来、自然である命にとって受け入れ難いこうした薬物がどんどん体内に入って来ると、異物を排除するために働く免疫力や自然治癒力が必要以上に刺激されて、それらの機能を慢性的に亢進させてしまう結果、体内に、あらゆる化学物質に対する耐性菌が出来てしまうのだ。

 元来、東洋医学や代替となる自然療法では、病気の症状はどれもが本来自然である身体が異物や状態に対して正常となるように働く結果出てくる一種の好転反応だと考える。従って病気の症状は心身の危険を知らせる有り難いシグナルなのだから、根本的な原因を探し出し、二度とそうした症状が出ないようにすることが治療の基本だと考える。

 一方、現代医療の処方箋にはそうした視点が驚く程欠如している。原因がどうであれ、ひたすら症状を消すことが目的となっていて、自然な身体の有様を無視する結果、薬と治癒力との相反する機能がぶつかりあい、互いにエスカレートするいたちごっこになってしまっている。自然と人間とのいたちごっこだが、命を創造したのが人間ではなく大自然だと考えると、どう頑張ろうが人間の側に勝ち目が無いことは誰の眼にも明らかだ。

 抗生物質の効かなくなった人間の身体は、現代医療に対する自然からの警告であると同時に、限界にまで来てしまった現代人の命に対して「危機を知らせる最後通告」でもあるかも知れない。